電力供給が不安定な昨今、自家発電を行い、環境汚染の心配のない太陽光発電を設置することは、一般家庭においてもメリットの高い設備となります。この太陽光発電の開発競争は凄まじいものがあります。本年7月1日には、事業用太陽光発電の全量買取制度が始まり、異業種からこの分野への新規参入が増え、販売競争も熾烈を極めています。
これらに係わる企業・団体・個人がコンプライアンス、企業の社会的責任(CSR)を強く意識しなくてはなりません。
特に一般消費者を相手にする場合には専門知識もさることながら、メンテナンスが不可欠の業務のため信頼関係の構築が重要な要素となります。この「太陽光発電アドバイザー」資格は、専門的知識及び行動規範を認証する証として広く社会的に認知されるものと確信していています。
その飛躍は3・11原発震災を契機に、再生可能エネルギー特別措置法(固定優遇買取制度)の本年7月からの施行開始をスタート点として本格的な普及が繰り広げられます。
環境負荷の非常に少ないPVの普及は国民の大多数が歓迎するところです。住宅用は普及量も5月末に100万件突破が報告されました。
しかし品質、流通構造、メンテナンス体制、中古市場などの状況を見てももろ手を挙げて喜べる状態でなく、メンテナンスフリーとは言えず、まだ未成熟な業種とも言えます。
未成熟のままで爆発的に普及するとこれまでの皆の期待を裏切ることになりかねません。地産地消として量的にも多いPVシステムはメーカにおける品質向上が求められると共に流通を透明にすることと、人材を育成することが緊急の課題となっており、中立的な経験を積んだ第三者の参加の下でシステムの標準化、認証制度の確立が求められています。
特に留意されなければならないのはこれまでの認証や教育は供給(メーカ)側からの視点で組み立てられていますが、これからは需要(ユーザ)側の視点をもっと本格的に、意識的に活用して取り組ことにあります。3・11後の新しい観点です。
公式テキストは、7月1日の全量買取制度のスタートを前にタイムリーに刊行されたテキストで、太陽光発電の原理から説き起こし、施工、販売に係わる技術者、販売担当者が、消費者、事業者向けの説明を行なう際の制度的、法的枠組みが分かり易く、バランスよく解説された良書です。
推進する業者、担い手が太陽光発電の仕組みを理解し、何よりも設置者である消費者、事業者にとっての適合性を判断しつつ、目配りの聞いた提案をすることが求められています。太陽光発電を推進するメーカー系、量販店、独立系の業者の皆様が養成講座を通じて研鑽を積まれることが期待されます。
一方で世界は地球温暖化の問題も抱えており、太陽光発電、風力発電、地熱発電などの自然エネルギーが電力インフラとして注目されています。特に、太陽光発電は各家庭の屋根にパネルを取り付けるだけで一般の人でも参画できる他、「全量買取制度」の今年度の開始で採算面からも期待できることから高い関心を集めています。
ところで、家は人生最大の買い物です。もしその家が補強工事や改造によって地震や風雨に耐えられなくなれば生活の基盤が奪われてしまいます。地震によって家を損壊した人々が将来の希望を失ってしまう事を見てもそのことは明らかです。過去における「震補強工事」にも見られますとおり、需要が高まれば儲け話を狙って詐欺まがいの不良不適業者が後を絶たないのも事実です。
また、屋根は雨、風やヒョウ等といった様々な自然から家を守る、いやそれらにさらされている場所でもあります。
とともに、長く使う間の諸課題に対しても制度や法律等の専門知識を持たない購入者を守っていく制度やしくみも必要になってきます
その一方で、太陽光発電に関する知識不足や説明不足からくるトラブルも、残念がながら増えつつあります。
トラブルを未然に防ぎ、消費者が安心して太陽光発電を利用するためには、なにより正しい知識や技術を持った専門家の育成が急務といえます。
太陽光発電の専門的知識を有した有資格者が、太陽光発電の販売、導入・設置、保守等のあらゆる場面で、その専門的知識を活用して消費者や業者に適切なアドバイスを行うことは、トラブルを未然に防ぐとともに、我が国における太陽光発電の普及発展に大いに貢献するものと思います。
今後の太陽光発電アドバイザーの活躍に大いに期待しています。
家族が快適に暮らせる場から、その家族が快適に暮らしながらもエネルギーが自給できる再生型住宅へと超スピードで変革されようとしています。
この流れから今後の住宅営業の世界においても、当然ながらこれらの再生型エネルギーに関する知識習得は不可欠なものとなるのは自明です。
しかしながら、いつの時代も住宅を求めるお客様にとっての最大の願いであり、不安要素でもある「安心して任せられる良い業者と出会いたい」という観点からすれば、残念ながらまだまだ提供する側(住宅営業マン)の知識レベルの低さは否めず、顧客満足のミスマッチ状態が一定期間懸念されます。
このような状況の中において、
なものとなってくることでしょう。時代が求める安心の証として、当協会でも認知度向上に寄与していきたいと存じます。
安全で安心な質の高い市場を創ることは、消費者の利益のためにも、産業の健全な発展のためにも、とても大切なことです。
こうした市場を実現するには、法的規制を含めた行政による適切な誘導も必要ですが、当然、社会的責任を自覚した企業の自主的な努力が大前提となります。そして同時に、消費者が的確に選択する力を持ち、実際にその選択を支障なく行えることが重要です。
消費者が何も考えずに生活していても、行政が悪質業者や欠陥商品を全て追い払ってくれる。万一被害が発生しても、黙って座っていれば行政が救済してくれる。こんな社会は作りたくても作れません。消費者一人一人が積極的に情報を集め、しっかりと自分で確かめ、よく考えて判断する。こうした消費者力が不可欠です。
しかし一方、消費者と事業者とでは、情報の質や量、交渉力等に大きな格差があります。ですから、「安全の確保」「必要な情報の提供」「合理的な選択の機会の確保」など、消費者の権利が社会的にしっかりと保障されなければなりません。社会全体で消費者力を高めていくことが大切です。
NPO法人日本住宅性能検査協会は、住宅産業分野で企業と消費者の懸け橋となって、地域に密着しながら消費者のサポートを行い、消費者力を高める役割を担っておられます。
専門的・客観的な第三者の視点で消費者のために住宅性能を検査したり、市民講座を通して「無料点検商法」などの被害を未然に防ぐ知識を広げたり、分かりにくい住宅業者の情報を消費者に分かりやすい形で発信したり、まさに消費者の選択に必要な情報を提供する活動をされています。
さらに、日本不動産仲裁機構を通して、ADRにも取り組まれています。様々な分野に信頼できる民間ADRを育てていくことは、消費者のための重要な基盤整備であると考えます。
また今日、あらためて再生可能エネルギーの活用が大きな社会的テーマになっています。しかし一方で、家庭用太陽光発電システムについて不適切な勧誘がみられたり、関連機器の不具合や事故が公表されたりしています。
貴協会が設立される「太陽光発電アドバイザー」制度が、消費者がより安心して太陽光発電システムを導入していける環境を生み出し、太陽光発電の推進につながることを期待しています。
消費者の行動は、持続可能な社会を実現していくうえでも決定的に重要な要素です。消費者は単に保護される存在ではなく、より良い社会を創造していく主体だと言えます。
NPO法人日本住宅性能検査協会が、消費者にとって心強い民間の第三者機関として、住宅産業の健全な発展をめざし、一層充実した活動を展開されますことを心から願っています。